世界で一番優しい歌




此処じゃない、別の処から歌が聴こえる

聴いたことはあるはずなのに思い出せない
少しだけ懐かしくて優しい、歌

最後に歌ったのはいつの事だろう

「骸様」

「あぁ、煩かったですか」

呼び掛けたら違うようにとられてしまった
分かっていてわざとやっているんだろうけど
首を振って否定の意を表す

「今日は、明るいの」

歌―というより骸様の声が

「大切な、日?」

そう言ったら少しだけ驚いた顔をしてからそっと笑った

「今日は大切な日ですよ
雲雀恭也がこの世に生をうけた日ですから
だからお祝いを歌ってたんです
僕を嫌っている彼にはちょうどいいプレゼントでしょう?
僕に祝われるなんて」

あぁそうだこの優しい歌は


この世の生を祝う歌


一緒に、思い出せ無かった理由も分かった
だって生きている事を喜ばれた事なんてない

最初から、最後まで私はいらない子だったから

また、歌が聴こえる

歌が途切れた時、骸様がこう言った


「クロームの誕生日にも歌ってあげますね」


それは、とても幸せなこと
だって今までの生に価値なんてなくても
それだけで貴方の為に生をうけたと思えるのだから

「骸様の誕生日は、私、歌いたい」

そう言ったらやっぱり少しだけ驚かれて
その後、笑顔と、肯定の返事が返ってきた




***




少しだけ、思った事

「あのね、骸様」

きっと

「思ってるだけじゃ伝わらないと思うの」

だから

「連れてってあげる」

「な、何を言っているんですかクローム!!
 直接とか恥ずかし…じゃなくてクロームが危ないでしょう!!」

「じゃあ、ボスのとこ」

ボスならどうにかしてくれるから

「どうしてそうなるんですか!!
 クローム!止まりなさい!!」

立ち止まって思った事をただ素直に言った

「骸様、うるさい」





あ、あれ!?
雲雀さんおめでとうを打っていたのに何故雲雀さんが出てこない!?

…まだ続くつもりで打っていたのですが満足しちゃったので打たないかもしれません

6/1