「     」




骸はよく俺の夢に不法侵入をする

(や、現実に窓から入ってくる人や気が付いたらうちにいる人もいるんだけど)


骸が言うには骸が夢に来ている訳じゃなくて俺の方が骸を引きずってるっていうんだけど
そんなつもりは全くないしましてや呼んだ覚えなんて一度もない


夢の中位休ませて欲しいって言うのが本音
怖い思いをするのは現実だけで十分だ


大体夢って深層心理……だっけ?それを現すものだろ?
なんでよりによって骸なんだ


もし此処に獄寺君や山本が出てきたら“これは夢だ”って分かるんだけどさ
夢は骸にとっての現実だろう?(って前にクロームが言ってた)
これが俺の深層心理が作った夢なのか現実に存在する骸なのか分からない


本当にふざけるなって思う



……言える筈がないんだけど



「余り僕を呼ばないでくれますか? 僕だって暇じゃないんですよ」


ほら、来た


「だから呼びたくて呼んだんじゃないですていうか呼んでないって」


「いつも引きずり込まれてちゃ迷惑なんです」


「勝手にお前が来るんだよ!!
 知ってるなら教えてよ、お前が此処に来れない方法」


「知りませんよ、貴方の事でしょう
 まぁいずれ貴方の全ては僕のものになるのですがね」


「ならないよ!!」


何かとつけて俺の身体を乗っ取ろうとするし
ここじゃあ死ぬ気にもなれないんだから止めて下さい
あれ、夢だから思ったらなれるのかな…


「抵抗とか無駄なことしないで下さいね、面倒なんで」


心が読めるのか、こいつ!?
いやいや、多分無いって



……完全には否定出来ないのが悲しい


「いい加減諦めて大人しく身体を渡したらどうですか」


「嫌に決まってるだろう!!」


「マフィアは全て跡形もなく消しておいてあげますよ
 マフィアなんてなりたくないでしょう?」


「なりたくはないけど…じゃなくて別に消したい訳でもないから!!」


そんな事は一言も言ってない
なりたくないから消すってどんだけぐだらない人間だと思われてるんだ!!


「素直に渡していれば今、そしてこれから
 悪夢に悩まされることもなかったのに残念ですね」


いやいや、渡した時点で俺の人生終わり…って悪夢だって自覚あったのかよ!?

そうだよ、悪夢だよ
自覚があるなら俺の夢に出てこないでくれ!!


ったく、なんなんだっていうんだよ…

マフィアなんて嫌いだって言いながら守護者になったりするし
仲間の事を玩具とか言うくせにちゃんと守ってたり
骸なら夢に来ない事だって簡単な筈なのに毎晩文句言いながら現れたり


「…俺にはお前が分からないよ」


溜め息と一緒に本音がこぼれる


「そうですか?貴方が思うよりずっと僕は単純ですよ?」


「何処がだよ!!」


まったくそうは思えないんですけど!?


「では貴方の溜め息までに僕が言った言葉、初めの文字を繋げてみたらどうです?
 少しは僕の事が分かるかも知れませんよ」


骸がそう言った途端視界がぼやける

目が覚める合図だ


「Arrivederci、ボンゴレ」


独特な笑い声が響いた



***



「っ!?」


目を開くと見なれた天上
時計を見れば起きるにはまだ早い時間




…なんでそんなタイミングよく起きるかなぁ





夢の内容なんて起きたら忘れると思ったのに最初から最後までしっかり覚えてるし…

普段の記憶力なんて無いに等しいのに本当に質が悪い


「……最初の文字?」


初めの文字が…“あ"?


で、次が“い"


その次は“し"で



…………次が………“て"……



……

………

…………

……………っ




「あいつ、何言っちゃってんの!?!?」


おかしいだろう!!何処かで頭打ったんじゃないの!?

だって普通それは女の子に言うことであって俺は勿論れっきとした男の子な訳で
あれ、訳が分からなくなってきた




だってそれってつまり守護者になったのも夢に現れるのも





―――俺を愛してるから…ってこと、で……




「少しは分かるかもってさらに混乱しただけじゃん!!」


本日2回目の叫び声


案の定寝ていたリボーンに“うるせぇ”って怒られて強制睡眠


夢に骸が出てくることは無かったけど骸の言った事のせいでうなされた訳で


結局夢に現れても現れなくても悪夢に悩まされる訳で


目が覚めてからも次に夢で逢う時に俺はどんな顔をすればいいかを真剣に悩むはめになったり






骸に関わると本当にろくなことがない







告白すら素直にできない、でも変態じゃない骸さんが書きたかったです(希望)
ツナが無意識に骸を呼んでいるのも本当だけど骸がわざと夢に行くのも本当
自分を意識させようとしてます
すれ違う両想いが好きです←


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